さーて、第2番手は石井清隆さん。
お酒を飲まず(飲めず?)伝統の日本酒造り一筋に情熱を捧げる、造り酒屋の現役社長。

「お酒を飲まないで、どうしておいしいお酒が造れるの???」
この疑問には後ほどお答えいたしましょう!

自宅、酒蔵のある高槻市富田町は江戸時代から続く酒どころ、
建物は白壁の伝統のある日本家屋で歴史が感じられます。
最盛期には24軒のつくり酒屋がありましたが、現在では2件のみとなりました。
創醸は1856年(安政3年)で、この頃は、造り酒屋と 造り醤油屋が地産地消のため
全国で20,000軒余りありました。
当時は物流機能がなく、重いものを運ぶ手段がなかったからです。
時代が進み、物流機能が発達してからは、大手の酒造会社が出現して、各地の造り酒屋が減少し、富田もその影響を受け2軒のみとなりました。
もう1軒は、次回登場していただく、やはり同窓の「國乃長」です。

石井さんはこの160年近く続く酒造家「清鶴酒造株式会社」の5代目社長です。


支部の面々が酒蔵見学に伺ったお酒の仕込みで大忙しの2月、
同窓に富田の酒造りについて熱く語る石井さん


酒蔵

酒蔵や自宅のある界隈は、プロの画家も思わず絵筆をとりたくなるような
昔ながらの佇まいを残す情緒ある街並み。


小阪 謙造 画伯 画
「高槻東ロータリークラブ」会報誌表紙より
酒蔵のスケッチ

釜我 博康 画伯 画
「摂津富田の路地」
自宅(右)と酒蔵(左)の間の路地です。


石井さんの第一印象はまじめ、真剣、裏表なしというところだが実際もその通り。
どのような経歴の持ち主なのでしょうか?

まずは生い立ちをご紹介

石井さんはこの地で生まれこの地で育ち現在に至る。

昭和29年に富田町立小学校を卒業、高槻中学、高槻高校を経て
昭和35年に関西学院大学法学部に入学。

在学中はクラブ活動で写真部に籍を置き、
全日本学生写真コンクール、関西学生写真コンクール等で入賞歴があり、
又冬は毎年スキーを楽しんで、青春を謳歌


写真部時代の作品の 「奈良公園」
当時まだカラーが出来ていなかった。
●仕事の略歴
昭和39年   大学を卒業と同時に見習いのため酒類卸問屋の(株)弥谷に入社し4年間在籍
昭和43年 父が経営する清鶴酒造(株)に入社
昭和47年 酒造りに従事しながら、不動産管理会社の清和興業(株)を設立し、代表取締役に就任
昭和59年 清鶴酒造(株)代表取締役に就任
大阪府酒造組合の監事に就任   以来、社外での活躍が増える
●高槻東ロータリークラブ
平成 5年 入会
平成19年 幹事
平成22年 副会長
平成24年 会長
●大阪府酒造組合
昭和59年 幹事
平成14年 副理事長
平成16年 理事長
平成18年 日本酒造組合中央会 監事
現在    地元 町おこしの会「けさたんと会会長」を務めている。


お仕事(お酒造り)

お酒造りは江戸時代末期の安政三年(1856)からで、石井さんで5代目です。

ここで石井さんに一言、お酒造りと富田と清鶴酒造の歴史を語って頂きましょう。

≪お酒造りの理念≫
我がふるさと 富田酒の伝統を守り いたずらに量産を図ることなく、五感を駆使し、手間暇惜しまず、我が子を慈しむように、醸しだします。
目指すところは「甘」・「酸」・「苦」・「渋」・「辛」(カン・サン・ク・ジュウ・シン)五味の調和そのものです。
口に含んで喉ごしよく、さらに香り高く、後味にふくよかな余韻が残る・・・これが「清鶴」の理念です。

関西学院同窓会のある支部での総会で、院長のグルーベル先生と名刺を交換された時、
先生から「日本文化の担い手ですね」と言われました・・・・目から鱗 感動されたそうです。
 
でも、どうしてお酒を飲まずにおいしいお酒が造れるの???

酒飲みの素朴な疑問。
しかし、お酒の品評会でもそうですが、
試飲は、お酒は飲まずに口に含んで吐き出すのものなのです。

お酒飲んでしまったら、酔っぱらって味も何もわからなくなります。
でも、酒飲みは吐き出すなんて、そんな勿体ないこと、絶対にしません。できません。
逆にいえば、酒飲みはお酒は造れないのかもしれません。

お酒のテイスティングの方法は、
まず、色を見る。それから、香り。口に含んで「ふくらみ(味)」、はきだして「きれ(後味)」を見る。

香りの聞き方は、鼻で空気を吹き付けるそうです。そうすると香りがあがってくる。
思い切り吸い込んで香りを感じるのではなく、鼻から空気を出し切って、香りを飛ばして
空になった鼻に香りが入ってくるなんて、それこそ目から鱗です。。

香りについての豆知識
カプロンサン系:華々しい香り。派手美人
イソアミール系:控え目な香り。控え目美人

どちらが好きかは女性とおなじで、好みの問題。
派手美人は飽きられる。でも、華やかなものを見ると控えめは目立たなくなる。

社長と杜氏さんとはお酒の好みは異なるが、杜氏さんは結局社長好みのお酒を造るそうです。
さて、石井さんのお好みは、「派手美人」それとも「控え目美人」?
清鶴のお酒を飲んで判断してください。


酒蔵での昔ながらの酒造りの様子

搾られたお酒が、槽口(ふなくち)から「水琴窟」のような響きでしたたり落ちる。
2月初めの「酒蔵見学」の時、搾りたてのその新酒を飲ませてもらった同窓生達は、
もう、みんな虜になってしまった。(その時の様子は、後ほど)
詳細は、清鶴ホームページをご覧ください。


≪清鶴ファンへのインタビュー≫

お酒をこよなく愛し、お酒がないと一日が終わらない支部の方々に、清鶴のお酒について語ってもらった。

先ずはUさん 
「清鶴のお酒の中では(あらばしり)が好きです。しぼり槽より もろみの自重で滴り落ち、うっすら瓶底にオリがあるのが特徴で、さらに豊かな風味が増し格別の味わいあるお酒です。」
---真夏にペットボトルに入れてゴルフ場に持っていくのはやめましょう。火入れしていないのに、味変わりますよ---

続いてMさんに聞いてみましょう。
「私も清鶴酒造の中では(あらばしり)がいいと思います。それを猪口に注ぎ、匂いを嗅ぐと芳醇な香りが漂い、アルコール度18度と高いせいか、日本酒独特の鼻を突くような、きつい匂いがたまらない。口に含めばころころと転がるような感じ、それを味わいながら喉に送り込み、喉を流れ落ちる時の感触は、得も言われぬものがあり、正に至福の時である。」

最後にIさん
「冷蔵庫に(あらばしり)はかかしません。絶対に燗はせずにシャンパングラスに入れて冬でも冷酒で飲みます。麹の香りを感じさせるフルーティーな香りが大好きです。口に含むとまろやかで後味はすっきりさわやかなので、アルコール度数が高いことを忘れてグイグイ飲んでしまう美味しさです。」

酒を飲める人は幸せですね・・・(廣原さん)

表 彰 歴
 
平成15年 大阪国税局長 表彰
平成16年 大阪府知事 表彰
平成19年 茨木税務署長 表彰
平成20年 日本酒造組合中央会会長 表彰
平成23年 藍綬褒章受章
      (多年酒類製造業に携わり業界の発展に寄与したことが認められた)

《藍綬褒章 受章》 

石井さんご夫妻


財務省での伝達式
前列左から2人目が石井さん その後が奥様

 皇居にて秋篠宮殿下御接見

《祝賀会の情景》

平成24年2月25日(土)藍綬褒章受章の祝賀会が催しされる。


   

6代目のご子息、7代目のお孫さん
仲睦まじいご家族です

《地元酒蔵W受賞祝賀会》

平成24年 全国新酒鑑評会で金賞受賞(寿酒造共に富田酒ダブル受賞)
平成24年10月18日「地元酒蔵W受賞祝賀会」が開催される。

「この人、この世界」登場(予定)のメンバー 総揃い
右から、石井副支部長、石原副支部長、前内名誉支部長、橋本顧問


最後に、ロータリークラブでのご活躍

石井さんは高槻東ロータリークラブの会長として、
東日本大震災の復興支援やカンボジアなどへのワクチンなどの医療支援など、
様々な社会奉仕に貢献されています。

創立40周年記念の式典は、「東日本大震災復興支援」講演会「これからの日本を考える」は、
安藤忠雄氏を講師として招き、盛大に開催されました。(平成25年3月30日開催)

安藤氏とともに
   

梅花高校
チアリーディング部 レイダーズ

芥川高校 和太鼓部


石井さんは「伝統的なお酒造りに情熱を傾け」ながら、
現役の社長としてご子息と共に経営の第一線で活躍されています。

事務所の机の前に座って、一人前に書類をさわり未来の経営者振りを発揮する
幼稚園児のお孫さんに、目を細める良きおじいちゃんでもあります。

高槻・島本支部では副支部長を務め、高槻東ロータリークラブでは会長として
様々な社会貢献をされています。

お顔は非常に若々しく、健康そのもので、今後共ますます活躍されるだろうと推察いたします。

会社訪問取材 広報グループ 廣原 祥隆(S36年法卒)
                         伊木 幸子(S47年文卒)



【酒 蔵 見 学】

日本酒をこよなく愛する支部メンバーによる酒蔵見学が2月3日開催された。

酒造りのもっとも忙しい時期に大勢で押しかけ、至福の時を過ごさせていただいた。


「おいしいお酒が飲めるぞ~!」
期待に胸を膨らませ、満面の笑みです。
まずは、ご自宅の前で、「富田酒」と「清鶴」の歴史について説明
  
ご自宅の瓦には「富田石井」の文字が入っている。
つぎは、酒蔵でのお酒造りについての説明

日本酒造りは本当に奥が深いと感じながら、熱心に耳を傾ける

貯蔵タンク。金賞受賞という時は、
タンク単位決められるそうです。

酒造りに欠かせない井戸

仕込みが終わり、発酵中
発酵タンクを上から長く覗き込んでいると、酸欠になって命が危ないそうです。
それでも、のぞいてみないと気が済まない面々。
「わ~~!キツ~~!」と言いながら、交代で覗き込んでいました。
お酒造りについて、熱く語る石井さん。時計を見れば、訪問から1時間以上経過。
奥さまが来られて「お話はそのくらいにして。皆さん、お待ちかねですよ。」

「あらばしり中毒?」のブラボー氏は、禁断症状が出てきたようで、
「もうあかん!」と、例によって持参のポカリのペットボトル(中身は??)を
ゴクリと飲みほし、やっと人心地がついたご様子。
さて、待ちに待った!試飲タイムがスタート。

まずは4本のお酒を指示された順番に試飲。
奥さま手作りの美味しいお料理を頂きながら、おいしいお酒を酌み交わし
「関学高槻・島本支部の会員でよかった!」とは、全員一致の感想。

そのあと、槽(ふね)で搾られ滴り落ちた搾りたて原酒を
一口飲んでもう全員そのお酒の虜。

後で奥さまにお聞きしたところでは、この日に合わせて搾りたてをみんなに飲んでもらうように、
石井さんはちゃんと用意されていたとか。

「このお酒の銘柄は何?」
「さあ~知らん。搾りたてだから『いましぼり』と違うか?」
勝手に命名して、みんな夢見心地

最後にこれまた奥さまお手製の大なべ一杯の粕汁を平らげお開きとなる。
  
  
恒例の校歌斉唱で宴はお開きとなった。
奥さまは日本酒のあてになるたくさんの美味しいお料理を、おひとりで用意されたそうです。
石井さん、奥さま、本当にありがとうございました。
これからも美味しいお酒を造り続けてくださいね。

石川支部長のお声掛けで開催が決まった酒蔵見学。
呼びかけにあっという間に定員に達し、参加できなかった方も大勢いたとか。
参加できた幸せに感謝感激!

                                                                    
写真: 石川  宏 (S35年経卒)
 伊木 幸子(S47年文卒)

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